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うつかもしれないあなたへ

精神科・神経内科・もの忘れ外来 分野病院

気分やからだにこんな不調は続いていませんか?

気分の不調・からだの不調

今、多くの人がこのような不調に悩んでいます。不調の原因は何でしょうか?

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こころやからだの不調にはアミンが関係している可能性があります

こころやからだの働きを活性化させ、意欲や気力をコントロールしている場所は脳内にあります。脳内にはアミンという神経伝達物質がありこれが正常に働いていると、こころやからだには活力があって、健康を保つ事が出来ます。

ところが、アミンがうまく働かなくなると、こころや体に上のような症状があらわれるようになります。

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こころやからだに不調があらわれるのは、決して特別なことではありません

ゆううつな気分になる、イライラするなどの「こころの不調」や、眠れない、頭が痛い、肩がこる、食欲が低下するといった「からだの不調」は、日常生活でよく経験することです。しばらくすると、このような不調が自然に改善する場合は特に問題はありません。

しかし、こころやからだの不調が長く続いたり、繰り返し起こったりする場合は、放っておいても自然に治ることは少ないため、早い時期に医療機関へ行って医師に相談してみることが大切です。もしかしたら、単なる不調ではなく、その背景にはうつ病などのこころの病気が隠れているかもしれません。

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こころやからだに不調が続くのは、「うつ病」が関係しているかもしれません

うつ病は決して珍しい病気ではない!

うつ病は、ゆううつ感や無気力な状態が長い期間回復せず、日常生活に支障をきたすようになってしまう病気です。気分が落ち込むなどの「こころの不調」だけでなく、だるさ、不眠、食欲低下、頭痛などの「からだの不調」も見られます。

うつ病はだれでもなる可能性があり、決して珍しい病気ではありません。
厚生労働省が行った最近の研究では、日本人におけるうつ病の有病率は6.5%と報告されており、日本人の15人に1人は一生に1度はうつ病にかかる可能性があると考えられます。

また、女性のうつ病の有病率は8.3%で、男性の4.2%と比較すると2倍もうつ病になりやすいと言われています。

おすすめ食事療法

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単なる「気分の落ち込み」とはここが違います

単なる気の持ちようでは治らない!

周囲の人に「ゆううつな気分だ」と訴えると、「気の持ちようだ」とか「気にしすぎ」などと言われることがあるかもしれません。

しかし、うつ病は、脳内の神経伝達物質の働きが低下して活力不足となり、ゆううつな気分に見舞われるため、単なる気の持ちようではなく、治療が必要になります。

気分の落ち込みとうつ病にはいくつかの違いがあります。失恋をしたり、仕事で大きな失敗をしたりすると、気分は落ち込みます。しかし、多くの場合は数日で回復し、また元気に“がんばろう”と思えるようになります。ところが、いつまでたっても気持ちが沈んだまま、回復せず、1ヵ月以上もこのような状態が続く場合は、うつ病の可能性が疑われます。

また、落ち込みの程度はいつも同じではなく、多くの場合朝に重く、夕方になると軽くなる傾向があります。このように、1日の中で気分の落ち込みに変化があることを「日内変動」といい、うつ病の特徴の1つにあげられます。

この他、悩みや心配事があって眠れなかった経験のある人も多いと言われています。不眠はうつ病で最もよくあらわれる症状のひとつです。うつ病の場合は夜に眠れないこともありますが、早朝から目が覚めてしまうという場合も多いようです。

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うつ病にはさまざまな症状があります

うつ病は、こころとからだに次のような症状があらわれます。

こころの症状

気分の落ち込み

・気分が落ち込み、ゆううつな気分になる。
・悲しい気持ちになる。
・何の希望もなくなる。

意欲の低下

・これまで好きだったことへの興味や喜びがなくなる。
・気力が低下して、何をするにもおっくうになる。
・人づきあいもいやになる。
・仕事をしたくなくなる。
・新聞やテレビを見なくなる。
・身だしなみに関心を払わなくなる。

あせり・罪悪感

・あせってイライラする。
・根拠もなく、自分の責任だと思う。
・過去の小さなことを思い出しては悩む。

思考力の低下

・ 集中力がなくなり、能率が低下する。
・ 物事の判断ができなくなる。
からだの症状

睡眠

・眠れない。
・眠りが浅かったり、朝早く目が覚めたりする。
・朝、目覚めたときが一番ゆううつである。
・睡眠不足から、頭痛や肩こりに悩まされる。

食欲

・食欲がなくなる。
・何を食べてもおいしいと思えず、砂をかんでいるようだ。
・体重が減った。(または増えた)
・胃がもたれる。むかつきがある。

自律神経系

・微熱が続く。
・ときどきめまいがする。
・息切れがする。
・冷や汗や寝汗をかく。
・からだがだるい。
・動いていないのに疲れやすい。
・からだの動きが遅くなる。
・トイレが近くなる。
・便秘・下痢に悩まされる。

ホルモン系

・生理不順が続く。
・性欲が落ちる。

うつ病は、こころとからだの両方に症状があらわれます。特に原因が分からないのに、こうした症状が1ヵ月以上続いている場合は、うつ病の可能性も考えられます。

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日常生活のちょっとした変化がきっかけになることも・・・

うつ病の発症には、病気やけが、学校や職場の人間関係、こどもの独立、家族や友人の死別といった日常生活のストレスとも関係があると言われています。ストレスの感じ方には、個人差があり、他人から見れば嬉しいと思われることでも、本人にとっては重荷でストレスと感じることもあります。また、自分ではストレスを自覚していなくても、からだやこころに負担がかかっていることもあります。

環境変化によるプレッシャー・ストレス

・就職、昇進、転勤、転職、入学、転校、結婚、出産など。

からだへのダメージ

・病気、けがなど。

何かを失うことへの不安・むなしさ

・子どもの独立、失業、離婚、退職、閉経など。

別れの悲しみ

・家族や友人との死別、失恋など。

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ストレスをためない生活を送りましょう

ストレスをためない生活
■ 自分の性格を知る

まじめで几帳面、完璧を目指す性格の人は、ストレスがたまり、うつ病になりやすいと言えます。これを避けるには、こうした自分の性格を心得ておくことが大切です。

■ がんばりすぎない

がんばりすぎないことが大切です。休んだ後に遅れを取り戻そうと考えたりせず、気持ちに余裕を持たせましょう。

■ 自分への負担を軽くする

何でも自分ひとりでやろうとすると、ストレスがたまります。他の人に相談して、手伝ってもらい、なるべく負担を軽くするようにしましょう。

■ マイペースな生活を

他人が、どのように思っているかなどを気にしすぎず、マイペースな生活を心がけましょう。

■ 環境が変化する時は、十分に休養を

生活に変化があったときは、休養をとったり、家族や友人と話す時間を作ったりするよう心がけましょう。

■ アルコールの飲み過ぎに注意

アルコールは気持ちをリラックスさせる効果はありますが、大量に飲み続けるとからだに悪い影響を与えたり、アルコール依存傾向になることもあります。コップ1~2杯程度の適量にしましょう。

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治療の基本は「休養」と「お薬」です

うつ病は、早い段階に、適切な治療を受ければ、治る病気です。しかし、放っておくと慢性化しやすく、再発しやすい特徴があります。

うつ病治療の中心は抗うつ薬などのお薬となり、うつ病の多くはお薬を服用することでよくなります。

ただし、いくらお薬をのんでも、病気のきっかけとなったストレスを受け続けている状態では、なかなかよくなりません。 お薬をのみながら、十分な「休養」をとることも必要です。長期にわたって休みが必要になる場合もあります。また、こころの負担になっているような環境の調整も必要です。
うつ病を長びかせないためにも、きちんと医師の指示にしたがって治療を続ける事が大切です。

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治療を始める前のこころがまえ

1. 少しでも早く医療機関に相談する

うつ病は、適切な治療を早期に受ければ、よくなります。症状に心当たりがある方は、少しでも早く医療機関を受診し、治療を始めることが重要です。

2. 回復をあせらない

お薬の効果が出るまでには少なくとも4週間かかります。また、症状が回復するためにも、ある程度の時間がかかります。順調に回復すれば3ヵ月程度で寛解しますが、6ヵ月から1年程度かかることもあります。うつ病はよくなったり悪くなったりを繰り返すため、目先の治療効果や症状の変化にとらわれず、じっくり構えて治療にのぞむようにしましょう。

3. 自分の判断で治療をやめない

治療には、十分な量のお薬を服用する事が大切です。症状がよくなったからといってすぐにお薬の服用をやめてしまうと、再発する場合があります。自分の判断でお薬の量を減らしたり、やめたりしないようにしましょう。

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抗うつ薬のメカニズムと特徴を理解しましょう

抗うつ薬とは?

抗うつ薬とはうつ病やうつ状態に効果のあるお薬です。
うつ病の患者さんは、脳内のセロトニンとノルアドレナリンという物質の働きが低下していると考えられており、抗うつ薬にはこのセロトニンとノルアドレナリンのどちらかあるいは両方の働きを回復させる働きがあります。下の図は抗うつ薬の1種、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)の作用をあらわしたものです。

抗うつ薬の作用

抗うつ薬の作用
上の神経と下の神経の間にあるすき間を「シナプス間隔」といい、抗うつ約はこのシナプス間隔のアミンの量を増やすために、アミンの再取り込み口を抑えます。

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抗うつ薬をのむときに気をつけること
効果があらわれるまでに時間がかかります

効果があらわれるまでには、少なくとも4週間かかる場合があります。効果があらわれないからといって、あせる必要はありません。

少量から始め、少しずつ増やしていきます

抗うつ薬は、基本的に少量から始めて、徐々に増やしていきます。これは、患者さんに必要な量を調整するために必要なことで、副作用を避けることにつながります。途中でお薬の量が増えていくのは、症状が悪化したためではないかと不安にならないでください。

症状がよくなっても服用を続けましょう

うつ病は再発・慢性化しやすいため、症状がよくなっても、しばらくはお薬をのみ続けることが大切です。抗うつ薬には、依存性や習慣性はありませんので、安心してください。

副作用が出たら相談しましょう

抗うつ薬は飲み始めに吐き気やめまいなどの副作用があらわれる場合もあります。しかし、しばらくがまんしてのんでいると、ほとんど自然になくなります。そのため、お薬を勝手にやめないで、副作用があらわれたら、医師と相談してください。

抗うつ薬の適正な服用方法について

抗うつ薬にはいろいろな特性があるため、それらをよく理解して、医師の指示にしたがい、正しく服用することが、治療効果を高めるために重要です。

抗うつ薬は毎日のみつづけることが大切です

うつ病は、「よくなったり、悪くなったり」を繰り返しながら徐々に回復へと向かう起伏のある病気です。気持ちがラクになったり不安になったりしても、まだ病気が治ったわけではありません。あせらずに、気長に治療することが大切です。また抗うつ薬には依存性や習慣性はありませんので、安心してください。
お薬ののみ忘れや、お薬を自己判断で急に止めたり、減らしたりすることのないように注意してください。

お薬をのみ忘れないための工夫
■ お薬は、携帯しましょう

急な外出などでお薬がのめなくなった場合に備えて、お薬は携帯するようにしてください。お薬を携帯しておけばいつでも安心です。

■ 通院日を常に確認しておきましょう

お薬が足りなくならないように、通院日はカレンダーに書き込むなど、常に確認しておきましょう。

■ お薬は、曜日別に小分けにしましょう

お薬は、あらかじめピルケースなどに曜日別に小分けにしておきましょう。こうすることで、のみ忘れがないかすぐに分かります。

治療を終了するときは、ゆっくりとお薬を減らしていきます。

うつ病は再燃しやすいため、うつ病のお薬は、医師が症状を見ながら2~4週間以上かけてゆっくり減らしていきます。ですから、自分の判断で、急に止めてしまわないようにしてください。
急にお薬を止めてしまった場合、お薬の作用が急になくなって、からだにいろいろな症状があらわれることがあります。

お薬を急に止めたときにみられる症状

・フワフワ感 ・ムカムカ
・手足のビリビリ感 ・イライラ

これらの症状は、ほとんどが一時的なものですが、気になる症状があったら、必ず医師に相談してください。

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