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メタボリックシンドロームに注意しましょう

メタボリックシンドロームに注意

精神科・神経内科・もの忘れ外来 分野病院

はじめに

先生に「尿酸値が少し高めですね」と言われたあなた。
「まだ薬をのむほどではない」と安心していませんか?

尿酸値が少し高いくらいでは、痛みなどの症状はありません。しかし、その拝見にある過食や運動不足といったライフスタイルをそのままにしておくと複数の検査値に異常が現れます。

若いころと比べて体重が増えた 血圧が高めと言われた
血糖値が高めと言われた 高脂血症と言われた

これらの項目に複数思い当たる方は要注意です。これらは血清尿酸値同様、少し数値が高いくらいでは症状が現れません。しかし、複数の悪条件が重なることで血管のダメージを与え、動脈硬化や脳血管疾患、心血管疾患などを引き起こす危険性が高まります。

このページを見たことをきっかけとし、ご自分の健康状態を正しく理解するとともに健康的なライフスタイルを実践し動脈硬化を予防しましょう。

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「尿酸値が少し高め」な状態を高尿酸血症といいます

正確には、血清尿酸値が7mg/dLを超えた状態が高尿酸血症です。従来、高尿酸血症は、痛風や尿路結石の危険分子として考えられてきましたが、最近では様々な病気との合併による動脈硬化の危険因子として注目されています。

高尿酸血症は他の生活習慣病を高頻度に合併します

図1からわかるように、高尿酸血症の患者さんの多くは他の生活習慣病を合併しています。 このようにわずかな異常値が複数の検査項目に重なって現れることを最近では、メタボリックシンドロームとよんでいます。この状態は血管にダメージを与え、動脈硬化を引き起こしやすいので注意が必要です。

これらの検査値異常は数値が高くなることももちろん危険ですが、危険因子の数が増えることによりさらに虚血性心疾患(心筋梗塞など)の危険度が跳ね上がります。

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高尿酸値血症と内臓脂肪肥満には密接な関係があります

内臓脂肪が蓄積すると、尿酸の合成が促進されることがわかっています。

図3からも肥満度(BMI)が高いほど高尿酸値血症になりやすいことがわかります また逆に、高尿酸血症の方に肥満の方が多いのも事実です。

内臓脂肪肥満を伴う高尿酸血症は痛風・尿路結石の危険因子としてだけでなく、動脈硬化の危険因子としての対応が必要です。

男性における肥満度別高尿酸血症頻度

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内臓脂肪の蓄積がメタボリックシンドロームの始まりです

肥満が健康によくないのは誰でもご存知のとおりです。ただし、肥満の「程度」より、脂肪が「蓄積する部位」のほうが問題であることが意外と知られていません。

内臓の(腸)の周辺に脂肪が蓄積する内臓脂肪肥満になると、様々な代謝異常が起こりやすくなります。これがメタボリックシンドロームです。基本的には自覚症状がありませんので“気付いたときには既に手遅れ”とならないよう、ライフスタイルを改善しましょう。

メタボリックシンドロームの診断基準

1 のウエスト周囲径が基準値を超えており、23 のうち2項目以上に該当する場合、メタボリックシンドロームと診断されます

メタボリックシンドロームの診断基準

注意が必要なその他の検査値

□ 結成尿酸値(7.0mg / dLを超える) □ 尿pH(6.0未満)
□ 総コレステロール値(220mg / dL以上) □ LDLコレステロール値(140mg / dL以上)
日本人の死因における動脈硬化性疾患

脳血管疾患、虚血性心疾患はいずれも動脈硬化が引き起こすため、動脈硬化性疾患とよばれています。これらは日本人の死因の第2位、第3位ですが、動脈硬化性疾患として両方を足してみると第1位のがんにほぼ匹敵します。

平成16年厚生労働省人口動態統計

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まずはウエスト周囲径を測りましょう

ご自分で内臓脂肪の蓄積状態をチェックするには、ウエスト周囲径を測りましょう。また、診断基準値に達していなくても心配な方は、医療機関による検査を受けることをおすすめします。

ベルトの位置ではなく、へその位置で測定してください

内臓脂肪と皮下脂肪

皮下脂肪肥満と内臓脂肪肥満

一般に内臓脂肪肥満は腹部周辺に、皮下脂肪肥満ではおしり・太もも周辺に脂肪がつきやすいといわれています。

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メタボリックシンドロームを伴う高尿酸血症の治療

メタボリックシンドロームを伴う高尿酸血症は、薬で血清尿酸値だけを下げても動脈硬化の危険度は下がりません。

また、他の疾患(高血圧など)の治療をすでに受けている場合も、治療中の検査値だけが下がったとしても十分とは言えません。

何よりも大切なのは、ライフスタイルを改善し、肥満(内臓脂肪の蓄積)を解消することです。内臓脂肪が減少すると、すべてに良い影響が期待できます。医師と相談しながら、しっかりと取り組みましょう。

食生活を改善しましょう
食事療法のポイント
・食事の量を減らす ・バランスのよい食事をする
・規則正しい食事をする  

肥満解消はまず食事から。特に食べてはいけないものはありませんが、カロリー摂取を控え、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。また、家族や職場の方にも協力してもらいましょう。

おすすめ
・多いと思ったら残し腹八分目を心掛ける
・宴席や接待などを極力減らす
・肉を減らし、魚・野菜を中心にとる
・水分をたっぷりとる
・1日3食を決まった時間にとる
おすすめ食事療法
・適正なカロリー摂取量や具体的メニュー等については、医師や栄養士に相談しましょう
運動する習慣を身につけましょう
運動療法のポイント
・息切れしない程度の運動を ・1日に30分以上(続けて)
・週3回以上 ・効果が出るまで継続を

たとえば、会社からの帰りにひと駅手前から歩くようにしたり、買い物に遠回りして出かけるなど無理なく日常生活で行う工夫をしてみましょう。

おすすめ
・ウォーキング
・スイミング
・サイクリング
おすすめ運動療法
・運動療法を開始する際には、必ず医師の指導を受けてください
薬の服用は医師の指示を守りましょう

様々な理由でライフスタイルの改善がうまくいできなかったり、効果が十分に現れない場合には薬物療法を行います。

メタボリックシンドロームを伴う高尿酸血症では、内臓肥満があり、皮下脂肪肥満に比べ尿酸生成が促進されるため、尿酸生成抑制薬を服用します。また酸性尿(pH6.0未満)の改善には尿アルカリ化薬を服用します。

・ご自分の判断で勝手に薬を減らしたり止めたりしないでください
・気になる症状がある場合はすぐに医師に知らせてください
・服薬中もライフスタイルの改善は計測しましょう

※引用文献 :「尿酸値が少し高め」と言われた方へ メタボリックシンドロームに注意しましょう
(編集:高尿酸血症・メタボリックシンドロームリサーチフォーラム)

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