心の病気について
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精神科・神経内科・もの忘れ外来 分野病院
ご家族に知っておいていただきたいこと
病気になったのはあなたのせいではありません
統合失調症は、脳内の情報を伝える神経伝達物質のバランスがくずれておこる病気です。ご家族や本人が何かをしたから発症したわけではありません。
ご家族がご自身を責めたり、本人の将来を悲観する必要はないのです。
「家族は味方」だというメッセージを送りましょう
統合失調症を発症した人は、今までに体験したことのない不安な状態におかれています。妄想により他人への不信感が増し、閉じこもりになりがちですからまずご家族が「私たちはあなたの味方」と言うメッセージを送ってあげることが大切です。
回復に向けたイメージをもって接しましょう
家族の接し方が治療の進み方に大きな影響を与えます。病気の症状や正しい治療法を理解し、回復に向けたイメージを持ちましょう。ご本人にとって、病気のつらい症状をコントロールしたり折り合いをつけられるようになることが病気の苦しみを減らす第一歩です。回復に向けたイメージを持つことはご家族だけでなくご本人にとっても大切なことです。
まずは症状をコントロール
妄想や幻覚などの回復を妨げている症状をできるだけ取り除いてあげることがご本人自身の悩みや苦しみを減らすことになります。様々な症状に苦しむ気持ちを、まずはそのまま聞いてあげること、そして苦しみを取り除くより治療方法があることをわかりやすく、優しく説明してあげましょう。
※ 幻覚や妄想などの症状は、治療を行ってもすぐには完全に消えないことがあります。その場合でも、病気と折り合いをつけ症状に惑わされないで社会生活を送っている患者さんはたくさんおられます。
ご本人らしさの発見を努めましょう
どんなに精神症状が激しくても、ご本人が本来持っているその人らしさが完全に失われてしまったわけではありません。病気になって思うように生きられないと、ご本人は自信をなくしてしまいがちです。ご家族は症状に振り回されることなく、ご本人本来の「良いところ」や「ご本人らしさ」を発見してあげましょう。ご本人らしさの幅を少しずつ広げていくことを通じてご本人らしさを実現していく過程を支えることが大切です。
回復に伴走する気持ちで接してみましょう
ご本人の話をよく聞いてあげ、甘やかしや過保護にならないよう気をつけながら、ご本人の回復に伴走しましょう。子ども扱いせず一人の大人としてご本人のプライドを尊重することが肝心です。
話をよく聞いてあげましょう
ご家族は幻聴や妄想に大げさに反応しないように注意し、じっくりと話を聞き、その真意を理解するよう努めましょう。
巻き込まれすぎないようにしましょう
ご家族は統合失調症だからとついつい甘やかしてしまいがちです。
大げさで情緒的な反応、過保護な対応、極端な自己犠牲はご家族が苦しみに巻き込まれて過ぎているサインです。以下のポイントを参考に一定の距離を保つようにしましょう。
・ご本人ができることには手を出さない
・家事手伝いなどの役割をはっきりさせる
・ご本人のやり方やペースを尊重する
短期目標と長期目標を作りましょう
焦らない。失敗してもくよくよせずに、できることを繰り返しながら少しずつ経験を積み重ねていきましょう。
希望を持って接しましょう
症状の再燃や再発があったり、引きこもり症状が遅々として改善しなかったりした場合も家族が前向きな態度を示すことが大切です。
ご本人の状況をありのままに受け入れる気持ちを持ち「大丈夫、あせらないでいこう」と言ってあげてください。
社会一般で適用する役割を持ってもらいましょう
・ | ご本人のできることと毎日の生活でしなければならない手伝いをマッチさせ、必要ならやり方を教える。 |
・ | ご本人に役割を持つ重要性を伝え、できることの中から一つ選んでもらう。 |
・ | ご家族はそれができるように十分援助し、できた時は感謝の言葉を忘れない。そしてご本人が家族の一員としての役割を果たしていることを評価してあげる。 |
自立心を育てる 愛情のある適切な距離
ご家族は保護することと自立心を育てることのバランスを考えながら治療の援助をする必要があります。干渉しすぎたり過保護にすることは再発の原因にもなるといわれています。
子育ての頃をもう一度振り返ってみましょう
思春期の時に見られたような反発がある場合には少し離れて見守りながら、よいことはほめ、注意すべきことは工夫して伝えましょう、ただし子ども扱いせずに一人の大人として接することが重要です。
適切な刺激のレベル
静かで穏やかな家庭の雰囲気は療養にとって非常に大切です。その中でご家族はご本印に近すぎず、遠すぎない距離を保つようにしましょう。
意欲の減退に打ち克つために
・ほめ上手になる。ありがとうをさりげなく言う。
・ご褒美をあげる。
・頼み上手になる。
・励まし、勇気づける。
注意するときは具体的に
感情的に批判しないこと。患者さんと病気を区別し、問題は病気であってご本人ではないことを念頭におく。
ご本人は批判に過敏になっているので注意するときは一つの内容を取り上げ、短く具体的に説明しどうしてほしいかを伝えること。
対立や言い合いは避け、交渉上手、仲直り上手になりましょう。
ステージ別 患者さんとの向き合い方
発症期
第1目標は医療機関の受診です
・ | いつもと違う変わった行動を取るなど、様子がおかしいと気付いたら、すみやかに医療の専門家から情報を得ましょう。早期回復につながります。 |
・ | 受診の必要性に関して一貫した態度を取りましょう。ご本人になにも言わず、だまして連れて行くのは問題です。ご本人の不安をかき立てないように。説得は落ち着いて根気よく、粘り強くそして優しく。 |
・ | ご家族が本当に心配していることを誠実に伝えましょう。 |
・ | ご本人の話がつじつまがあわなくても耳を傾ける姿勢をとりましょう。 |
・ | 静かで刺激の少ない環境を確保し、やさしく包み込む空間を意識してつくりましょう。 |
入院
長い目で見守りましょう
・ | まず家族が落ち着くことです。 |
・ | 入院後に環境の変化が原因で悪化する人がいますが、薬物療法の効果が出てくると徐々におさまるので一喜一憂しないようにしましょう。 |
・ | 見舞うときは暖かく、焦らず見守る態度が大切。 |
・ | 約束は守るようにしましょう。 |
・ | 病気のための言動に振り回されないようにしましょう。 |
退院後、社会復帰
あせらず一歩一歩、再発防止
・ | 退院後は妄想などによる激しい興奮が落ち着いた後ですから、ひきこもりや意欲の低下は普通のことです。赤ちゃん返りや依存的、身の回りへの無頓着などが起こる場合もあります。病気のために生活能力もコミュニケーション能力も落ちているときはあせらず長い目で見守ってあげましょう。 |
・ | ご本人が自分の力で生活していけるようにできないところを補いつつ暖かく見守りましょう。また無理のないよう、できることから始めるように励ましていきましょう。 |
・ | ご本人に回復の目標をもってもらうようにしましょう。 |
・ | 薬の継続的な服用の必要性を説明し、再発予防に努めましょう。 |
・ | あまり深刻に考え込まず、ほどほどの距離をとって、お互い息抜きをする時間を持つことも大切です。ご家族が共倒れにならないよう、支援サービスをうまく利用しましょう。 |
再発を見逃さない
統合失調症は再発しやすい病気です。特に発病初期の5~10年間は再発のリスクが高い傾向にあります。再発の兆候(サイン)は人それぞれ違いますが、患者さん一人に限っていえば、再発するときはいつも同じパターンで始まることが多いといわれています。よくあるパターンとしては「眠れなくなる」「イライラがひどくなる」「音に敏感になる」などがあげられます。
家族がわかる再発のサイン
1. | 眠れない日が続くようになる |
2. | イライラしている |
3. | 食欲が落ちている |
4. | 焦りや不安の訴えが多くなる |
5. | 発病時の体験を昨日のことのうように語るようになる |
6. | そわそわして落ち着きがなくなる |
7. | うつ症状になりぼーっと考え込んだりする |
8. | 被害的で疑い深くなる |
9. | 行動的になり異性にアタックしたり仕事にトライする |
10. | 作業所やデイケアを突然やめて仕事探しに出る |
いずれにしても「いつもと違う」様子が現れたら再発の可能性を疑ってすぐに受診させるようにしましょう。
再発初期であれば薬の調整や生活上のアドバイスで切り抜けられることもあります。
また、薬の服用が怠っていたりすると、再発に対する時間が短くなり受診が間に合わないこともありますので日常の服薬管理について家族や周りの方が協力することが大切だといえるでしょう。
※引用文献 : 統合失調症ABC 回復を促す“家族の接し方”
(監修:国際医療福祉大学 教授 上島国利 / 東洋大学 教授 白石弘巳)
(すまいるナビゲーターブックレートシリーズNo.3 大塚製薬株式会社)
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